賃借人が賃料未払いのまま行方不明となってしまった場合であっても、賃貸人は賃借人に無断で賃借人の家財道具類を自ら処分して建物の明け渡しを受けるということは認められていません。
このような自力救済行為は、賃貸人が、住居侵入罪や器物損壊罪という刑事責任や、民事上の損害賠償責任を問われるおそれがあります。
賃貸人としては、賃借人の住所や居所等が不明であっても訴訟で明渡しを認容する判決を得て、強制執行の手続により建物明け渡しを実現しなければなりません。
訴状等の裁判関係書類の送達のため、被告となる賃借人の現実の住所が必要不可欠ですが、賃借人の住所や居所等が不明な場合は、弁護士が必要な調査を行い、場合によっては就業先への送達や公示送達(裁判所の掲示場にいつでも訴状を交付する旨を掲示することにより訴状が送達された扱いとする送達方法)を検討することとなります。
このような送達の問題は、訴訟提起の際に障害になることも多いため、早めに弁護士に相談し、送達の問題をクリアしておくことが大切と思われます。